陳情第4号
組織犯罪処罰法改正案=「共謀罪」法案の撤回を政府に要望することを求める陳情
【要旨】
現在、国会で審議されている組織犯罪処罰法改正案は内心を処罰する「共謀罪」法案であり、人権を侵害し憲法にも反する法案です。市民の人権を守るために市議会として政府に対して、この法案の撤回を要望するよう求めるものです。
【理由】
今国会に政府が提出した、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案が、5月19日の衆議院法務委員会で、野党の反対を押し切って強行採決により可決されました。政府・与党は、国会会期末の6月18日までに成立を目指していると報道されています。私達は、このことに大きな不安と憤りを感じています。
政府はこの法案を「テロ等準備罪」と呼び、「テロ対策のために必要だ」と言っていますが、法案の内容をみると適用対象となる犯罪は277もあり、テロ犯罪とは無縁の犯罪も対象とされています。また、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)締結のために「共謀罪」が必要だと政府は説明していますが、「TOC条約の目的はテロ対策ではない」と、この条約の立法ガイドを作ったニコス・バッサス米ノースイースタン大学教授は明言しており、「テロ対策」という政府の提案理由そのものが成り立ちません。
政府は「組織的犯罪集団が対象で一般人は対象にならない」と言っていますが、「組織的犯罪集団」の定義もあいまいで、「一般人」かどうか判断するのは捜査機関です。捜査機関の恣意的な判断で一般市民や市民グループなども処罰の対象にされかねません。
また、「共謀罪」は犯罪行為を行う前の「計画」「準備」の段階で取り締まるものですが、犯罪を計画していることを知るためには、人が考えたり、話し合ったりする内容を調べることになります。それには人と人の接触、電話、メール、SNSなどを対象にした日常的な監視や盗聴が捜査手段として必要になり、内心の自由やプライバシーが侵され、市民の人権が著しく脅かされることになります。憲法にも反します。
今年2月、埼玉県内から東京電力福島第1原発事故の被災地を訪れたグループが、道路運送法違反容疑で埼玉県警に逮捕されました。レンタカーを借りた代金やガソリン代を割り勘したことが「白タク行為」に当たるとされたのです。後に不起訴となりましたが、県警は逮捕した人達を「過激派」と発表していました。反原発など政府の政策に反対の意見を持つ人達を警察が「過激派」とみなして、その行動を監視し、罪もないのに逮捕・拘束することが今でも実際に起きています。
私達一般市民にとって、友達とおしゃべりしたり、メールやLINEを使ってやりとりしたり、相談して行動することは日常です。その中で、保育園のこと、学校・教育のこと、放射能や原発のこと、平和のこと、憲法のことなどが話題になり、政府や行政に対して不満を言ったり批判することもあります。そんな日常生活が警察によって「過激派」とみなされて、捜査される可能性が今でも現実にあるのに、「共謀罪」ができたら、こうした警察の捜査がますます常態化し、市民が自由に物を言い行動することができなくなってしまいます。
これまでの国会審議で、私達の不安を解消するような納得いく政府の答弁は全くありません。審議が尽くされているとは到底言えません。このまま法案を通すことは民主主義の否定です。
私達の住む蕨市は小さいながらもコミュニティ活動、市民活動が活発で、それが住みよいまちを作る原動力になっていると思います。蕨市議会の議員のみなさんには、どうか、市民の自由で活発な活動を萎縮させるような、まち全体を監視社会にしてしまうような組織犯罪処罰法改正案=「共謀罪」法案を撤回するよう、政府に対して意見書を提出していただきますようにお願いいたします。